エジプト ビジネス法務ガイド
※ 本ページは2026年7月31日時点の法令・公表情報に基づきます。法令・施行日・閾値は改正が頻繁なため、実行前に一次出典および専門家にご確認ください。

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エジプトはフランス法系の大陸法を基礎とする成文法国であり、GCC諸国とは法系・実務慣行が異なります。投資法72/2017が原則100%の外資保有を認め、労働法14/2025と企業結合の事前届出制が近年の主要な制度変更です。以下の21の論点で、法体系から紛争解決までを順に解説します。
この国の論点(21)
法体系・商習慣
法体系・商習慣|ビジネス文化と交渉エジプトのビジネス文化|商習慣と許認可
エジプトでは関係構築を重視しつつ、契約・書面による確定を求める場面が多く見られます。投資案件は複数の官庁承認を要します。
商慣行
関係構築を重視しつつ、契約および書面による確定を求める場面が多く見られます。公用語はアラビア語で、公的手続は原則としてアラビア語によります。
許認可
投資案件は複数の官庁の承認を要し、承認の順序と所要期間が手続上の要素となります。GAFI(投資・フリーゾーン総局)が投資ライセンスの窓口となりますが、産業案件についてはIDA(工業開発庁)やEEAA(環境庁)の承認も必要です。
言語と文書
公文書の翻訳・認証の要否が手続上の論点となります。委任状には認証・領事認証を要します。
- 公的手続は原則としてアラビア語による
- 投資案件は複数の官庁承認を要する
- 委任状には認証・領事認証を要する
7カ国で比較する:中東の法体系
法体系・商習慣|マクロ経済と日本との関係エジプトの経済|北アフリカ最大級の市場
エジプトは北アフリカ最大級の経済規模を持ち、人口規模を背景とした内需と、製造・輸出拠点としての性格を併せ持ちます。
市場としての特徴
人口規模を背景とした内需と、製造・輸出拠点としての性格を併せ持ちます。スエズ運河経済特区をはじめとする産業集積の形成が進められています。
経済規模の順位は、指標(名目GDPかPPPか)、対象年、為替換算の方法により変動します。
日本との関係
製造業・インフラ分野を中心とした関係があります。中東・アフリカ双方への展開拠点として位置づける形態が見られます。
具体的な人口・GDP・進出企業数の数値は、出典と基準時点を揃えて別途掲載します。指標・年・換算方法により数値が変わるため、本ページでは順位や概数の断定を避けています。
- 人口規模を背景とした内需と製造・輸出拠点の性格を併せ持つ
- 経済規模の順位は指標・年・換算方法により変動する
- 統計値は出典・基準時点を揃えて確認する
7カ国で比較する:中東の法体系
外資規制
外資規制|外資規制の全体像エジプトの外資規制|投資法72/2017の枠組み
投資法72/2017は内外投資家の平等待遇を保障し、原則として100%の外資保有を認めます。2023年法160号による改正でゴールデンライセンス制度が拡充されました。
投資法72/2017
内外投資家の平等待遇を保障し、原則として100%の外資保有を認めます。2023年法160号による改正でゴールデンライセンス制度が拡充され、2024年首相令1203号が施行規則を改正しています。
GAFIの役割
投資・フリーゾーン総局(GAFI)が投資ライセンスを付与し、手続の起点となります。完備した申請について、現行の政府方針およびTrack License制度は20営業日以内の処理を掲げています。ただし、補正、技術審査、複数官庁の承認がある案件では処理期間が長くなります。
会社法との関係
会社の設立登記は会社法159/1981に基づき、GAFIが登記当局として審査・承認します。投資法72/2017の投資ライセンスは、同法の優遇・保護を受ける投資プロジェクトに関する制度であり、全ての会社が一律に取得するものではありません。
- 投資法72/2017は内外投資家の平等待遇と原則100%外資を保障する
- Track License制度は完備申請につき20営業日以内の処理を掲げる
- 設立登記と投資ライセンスは別個の制度である
7カ国で比較する:外資規制・進出形態の7カ国比較
外資規制|制限分野と例外エジプトの制限分野|商業代理店・メディア・シナイ
外資が制限される分野は、商業代理店、メディア、シナイ半島の不動産、一部の航空関連活動などです。それぞれ根拠法と規制内容が異なります。
商業代理店とメディア
商業代理店については、自然人はエジプト国民であること、法人は原則として資本が完全にエジプト人所有であることが必要です。
メディアについては、外国人が株式の過半数または経営権を与える比率を保有できないとされます。商業代理店とは規制の内容が異なります。
シナイ半島の不動産
シナイ半島に関する一般的な制限は2012年法14号に由来します。大統領決定128/2022は、シャルム・エル・シェイク、ダハブおよびアカバ湾観光地区を同法の適用から除外する決定であり、制限を課すものではありません。ただし同決定自体も、対象区域の土地・建物の所有をエジプト人または完全エジプト資本法人に限定するなど、独自の条件を置いています。
航空関連
一部の航空関連活動にはエジプト資本比率の要件があります(1981年法28号)。
- 商業代理店は法人の資本が完全にエジプト人所有であることを要する
- メディアは外国人が過半数・経営権を与える比率を保有できない
- 大統領決定128/2022はシナイ関連法の適用を除外する決定である
7カ国で比較する:外資規制・進出形態の7カ国比較
外資規制|投資形態とゴールデンライセンスエジプトの投資形態|4類型とゴールデンライセンス
投資法は内陸投資、投資区域、技術区域、フリーゾーンの4類型を定めます。ゴールデンライセンスは産業・インフラ案件について単一の承認で全工程をカバーする制度です。
4つの投資類型
| 内陸投資 | フリーゾーン以外の区域における投資 |
|---|---|
| 投資区域 | 指定区域における投資 |
| 技術区域 | 技術関連の指定区域 |
| フリーゾーン | 特別の税関・税制が適用される区域 |
ゴールデンライセンス
産業・インフラ案件について、設立から土地の割当、建築許可、操業までを単一の承認でカバーする制度です。2026年6月10日時点で54社に付与されています(GAFI公表。件数は随時更新されます)。
進出形態
商業活動を行う場合には現地法人・支店等が必要ですが、市場調査のみを行う駐在員事務所という選択肢もあります。活動を開始する際には会社または支店への転換が必要となります。
- 投資法は内陸投資・投資区域・技術区域・フリーゾーンの4類型を定める
- ゴールデンライセンスは2026年6月10日時点で54社に付与されている
- 市場調査のみの駐在員事務所という選択肢がある
7カ国で比較する:外資規制・進出形態の7カ国比較
外資規制|税制エジプトの税制|法人税22.5%とVAT14%
法人所得税の標準税率は22.5%、VATの標準税率は14%です。石油の探鉱・生産事業には最大40.55%の実効税率が適用されます。
法人課税
| 法人所得税 | 標準22.5% |
|---|---|
| 石油の探鉱・生産 | 最大40.55% |
| スエズ運河庁・石油公社・中央銀行 | 約40% |
| 付加価値税(VAT) | 標準14% |
| 生産ライン用の機械設備 | 5%の軽減税率 |
| VAT登録 | 年間課税売上EGP50万超で義務 |
生産設備のVAT
工場・生産ユニットが工業生産に用いる設備については、VAT法28条の2により納付が停止され、期限内に生産使用が確認されれば免税となります。5%という軽減税率の適用だけでは制度の全体を示しません。
その他
経済特区の優遇の適用可否、源泉税と租税条約の適用関係、移転価格文書の整備がそれぞれ検討の対象となります。
- 法人所得税は標準22.5%、VATは標準14%
- 生産設備はVAT法28条の2により納付停止・生産使用の確認で免税となる
- VAT登録は年間課税売上EGP50万超で義務となる
7カ国で比較する:外資規制・進出形態の7カ国比較
現地法人の管理
現地法人の管理|会社形態の比較エジプトの会社形態|LLC・JSC・一人会社
会社法159/1981および同施行規則96/1982が会社形態と機関設計を規律します。LLCは株主2〜50名で多くの業種に法定の最低資本がなく、JSC(SAE)は発行資本EGP25万以上です。
主な形態
| 有限責任会社(LLC) | 株主2〜50名。多くの業種で法定の最低資本なし。株式の公募は不可 |
|---|---|
| 株式会社(JSC/SAE) | 発起人3名以上。発行資本EGP25万以上(非上場) |
| 上場JSC | 発行資本EGP50万以上 |
| 一人会社(SPC) | 自然人・法人いずれも単独設立が可能 |
| 支店 | 本店の一部として扱われ、税務上の取扱いが異なる |
| 駐在員事務所 | 市場調査のみ。活動開始時は会社・支店への転換が必要 |
JSCの資本払込み
JSCは設立時に発行資本の10%を払い込み、3か月以内にさらに15%、5年以内に全額を払い込みます。
選択の視点
LLCは機関設計が簡素で、私的な事業会社に用いられます。JSCは株式の譲渡性と将来の上場可能性に対応します。
- LLCは株主2〜50名、多くの業種で法定の最低資本なし
- JSC(SAE)は発起人3名以上、発行資本EGP25万以上(上場は50万以上)
- JSCは設立時10%、3か月以内に15%、5年以内に全額を払い込む
7カ国で比較する:外資規制・進出形態の7カ国比較
現地法人の管理|設立手続と必要書類エジプトの会社設立|設立登記と各種ライセンスの区別
会社の設立登記、投資法上の投資ライセンス、業種別の事業ライセンスは、それぞれ別個の手続です。GAFIが登記当局として設立登記を審査・承認します。
3層の手続
会社の設立登記は会社法159/1981に基づき、GAFIが登記当局として審査・承認します。
投資法72/2017の投資ライセンスは、同法の優遇・保護を受ける投資プロジェクトに関する制度であり、全ての会社が一律に取得するものではありません。
これらとは別に、業種ごとの事業・操業ライセンスが必要です。産業案件についてはIDA(工業開発庁)の土地割当承認、EEAA(環境庁)の環境クリアランス等が該当します。
必要書類
委任状は認証および領事認証を要します。商業登記簿の記載事項は定期的な確認の対象となります。
- 設立登記・投資ライセンス・業種ライセンスは別個の手続
- GAFIが登記当局として設立登記を審査・承認する
- 委任状は認証・領事認証を要する
7カ国で比較する:外資規制・進出形態の7カ国比較
現地法人の管理|ガバナンスと年次コンプライアンスエジプトの現地法人管理|機関設計と年次義務
株式会社は取締役会を設置し、会社法および資本市場法95/1992の規律を受けます。会計監査、法人税申告、社会保険の届出が主要な年次義務です。
機関設計
| LLC | 1名以上のマネージャーが経営(取締役会ではない) |
|---|---|
| JSC | 取締役会を設置。3名以上 |
| 監督 | 会社法159/1981および資本市場法95/1992 |
年次義務
会計監査、法人税申告、社会保険の届出が主要な年次義務となります。会計基準はエジプト会計基準に準拠します。電子インボイス制度への対応も継続的な義務です。
取締役の要件
取締役の国籍・居住に関する要件は、業種および会社形態により異なります。
- 株式会社は取締役会を設置し会社法・資本市場法95/1992の規律を受ける
- 会計基準はエジプト会計基準に準拠する
- 電子インボイス制度への対応が継続的な義務となる
7カ国で比較する:外資規制・進出形態の7カ国比較
労務管理
労務管理|雇用契約の基本エジプトの雇用契約|労働法14/2025
労働法14/2025は2025年5月3日に官報公布され、2025年9月1日に施行されました。旧法12/2003および法125/2010を全面的に置き換えたものです。
新労働法の施行
2025年5月3日官報公布、2025年9月1日施行です。労働裁判所に関する規定は2025年10月1日から適用されます。旧法12/2003および法125/2010を全面的に置き換えました。
恣意的解雇の抑止、雇用の安定、国際労働基準との整合が主眼とされ、リモートワークやパートタイム等の就業形態が法律上明文化されました。
契約類型
有期契約と無期契約の双方が認められます。口頭合意による雇用関係など、契約が不明確な場合は無期契約として扱われます。
- 労働法14/2025は2025年5月3日官報公布、2025年9月1日施行
- 労働裁判所に関する規定は2025年10月1日から適用される
- 契約が不明確な場合は無期契約として扱われる
7カ国で比較する:労務・自国民化の7カ国比較
労務管理|労働時間・休暇エジプトの労働時間と休暇|法定の枠組み
労働時間・休暇は労働法14/2025が定めます。リモートワークやパートタイム等の就業形態が法律上明文化されました。
労働時間
法定労働時間と休憩、時間外労働の割増、休日労働の扱いが労働法に定められています。ラマダン期間中は就業時間が短縮されます。
新しい就業形態
労働法14/2025により、リモートワークやパートタイム等の就業形態が法律上明文化されました。これらの形態についても、労働法の保護が及びます。
休暇
年次有給休暇、病気休暇、産休などが法定されています。法定の水準を下回る合意は無効となります。
- リモートワーク・パートタイム等の就業形態が法律上明文化された
- ラマダン期間中は就業時間が短縮される
- 法定の水準を下回る合意は無効となる
7カ国で比較する:労務・自国民化の7カ国比較
労務管理|人材派遣・請負規制エジプトの人材供給業|ライセンスと保証金
人材供給業のライセンス制度は労働法14/2025でも維持され、会社にはエジプト資本51%以上等の要件が課されます。保証金はEGP100万に引き上げられました。
人材供給業のライセンス
人材供給業のライセンス制度は維持され、会社にはエジプト資本51%以上等の要件が課されます。保証金はEGP100万に引き上げられました。
電子的職業紹介
電子的職業紹介は労働省の許可を要し、許可の期間は1年以下です。手数料はEGP1,000から10,000とされます。
委託先の確認
人材供給を委託する場合、委託先のライセンスの有無が確認の対象となります。
- 人材供給業の会社はエジプト資本51%以上等の要件を満たす必要がある
- 保証金はEGP100万に引き上げられた
- 電子的職業紹介は労働省の許可(期間1年以下)を要し手数料はEGP1,000〜10,000
7カ国で比較する:労務・自国民化の7カ国比較
労務管理|解雇規制と辞職エジプトの解雇規制|Form 6の否定と辞職の認証
事前に署名させた辞職届(いわゆるForm 6)の濫用が明確に否定され、辞職は所管の労働局による認証を要することとなりました。労働者には撤回権が認められます。
恣意的解雇の抑止
労働法14/2025は恣意的解雇の抑止を主眼のひとつとします。事前に署名させた辞職届(いわゆるForm 6)の濫用が明確に否定されました。
辞職の手続(167条)
辞職は労働局の認証を要します。使用者は提出から10日以内に判断し、応答がなければ受理とみなされます。労働者には受理後10日以内の撤回権が認められます。
包摂
ジェンダー平等と障害者雇用が明文化されました。5%の障害者雇用枠については、障害者権利法10/2018等の別法にも根拠があります。
- 事前署名の辞職届(Form 6)の濫用が明確に否定された
- 辞職は労働局の認証を要し、使用者は10日以内に判断する(167条)
- 労働者には受理後10日以内の撤回権が認められる
7カ国で比較する:労務・自国民化の7カ国比較
労務管理|労働紛争の解決エジプトの労働紛争|労働裁判所と調停・仲裁センター
労働法14/2025により、第一審裁判所および控訴裁判所の管轄内に専門の労働裁判所が設置されました。適用開始は2025年10月1日です。
労働裁判所
第一審裁判所および控訴裁判所の管轄内に専門の労働裁判所が設置されます。その適用開始は2025年10月1日に繰り下げられました。
個別労働紛争
個別労働紛争については、和解委員会で21日以内に解決しない場合、いずれの当事者も労働裁判所へ付託できます(149〜150条)。
団体労働紛争
団体労働紛争については、労働省内に調停・仲裁センターが設置されます。調停開始後21日以内に解決しない場合、両当事者が行政当局を通じて付託手続を取ることとされています(217条)。個別労働紛争における一方当事者の付託とは制度が異なります。
- 専門の労働裁判所の適用開始は2025年10月1日
- 個別労働紛争は和解委員会で21日以内に解決しない場合、いずれの当事者も付託できる(149〜150条)
- 団体労働紛争は両当事者が行政当局を通じて付託手続を取る(217条)
7カ国で比較する:労務・自国民化の7カ国比較
労務管理|社会保険と駐在員の課税エジプトの社会保険と課税|居住者課税の範囲
社会保険は使用者・被用者の双方に拠出義務があり、登録と月次の届出を要します。居住者の課税範囲は所得税法6条により定まります。
社会保険
使用者および被用者の双方に拠出義務があり、登録と月次の届出を要します。拠出算定の基礎賃金の範囲が実務上の論点となります。
駐在員の所得課税
所得税法6条は、居住者についてエジプト源泉所得を課税し、国外所得についてはエジプトがその者の商業・工業・専門活動の中心である場合に課税するとしています。居住者であることだけを理由に全ての国外所得が当然に課税されるという一般的な全世界所得課税ではありません。
もっとも、エジプト居住の使用者から支払われる給与等は、勤務が国外であってもエジプト源泉とされ得ます。支払者、勤務場所、活動の中心、租税条約の適用関係がそれぞれ確認の対象となります。
就労許可
外国人の就労には労働許可を要し、就労許可と実際の勤務先の対応関係が問題となります。
- 居住者は原則としてエジプト源泉所得が課税対象となる(所得税法6条)
- 国外所得はエジプトが商業・工業・専門活動の中心である場合等に課税される
- 社会保険は使用者・被用者の双方に拠出義務がある
7カ国で比較する:労務・自国民化の7カ国比較
競争法
競争法|競争法の枠組みと当局エジプトの競争法|ECAによる執行
競争法3/2005が基本法で、エジプト競争庁(ECA)が執行を担います。2022年法175号による改正で、事後届出制から事前承認制へ移行しました。
法の枠組み
競争法3/2005が基本法で、ECAが執行を担います。2022年法175号による改正により、企業結合について事後届出制から事前承認制へ移行しました。
禁止行為
支配的地位そのものではなく、その濫用が禁止されます。競争制限的な合意についても禁止の対象となります。
域外で行われた取引であっても、国内市場に影響を及ぼす場合には適用され得ます。
国際協力
ECAは他国の競争当局とMOUを締結し、共同での審査の事例もあります。
- 競争法3/2005が基本法、ECAが執行を担う
- 2022年法175号により事後届出制から事前承認制へ移行した
- 支配的地位そのものではなくその濫用が禁止される
7カ国で比較する:競争法・企業結合の7カ国比較
競争法|企業結合規制エジプトの企業結合規制|事前届出制と2つの基準
2024年4月4日の首相令により、事前クロージング型の企業結合規制が2024年6月1日から全面施行されました。届出基準は国内基準と国際基準の2つです。
届出基準
| 国内基準 | 関係当事者のエジプト国内売上高または資産の合計がEGP9億超、かつ2社以上が各EGP2億超 |
|---|---|
| 国際基準 | 関係当事者の全世界売上高または資産の合計がEGP75億超、かつ関係当事者の少なくとも1者のエジプト国内売上高がEGP2億超 |
国際基準における国内売上の要件は、買収対象会社に限られるものではなく、関係当事者の少なくとも1者について判断されます。
審査期間
第1段階は30営業日で、問題解消措置が提示される場合は15営業日の延長があります。第2段階は60営業日で、同様に15営業日の延長があります。基本期間の合計は90営業日、法律上の延長を含む最大は120営業日です。
制裁
届出義務の違反は、売上高等の1〜10%、下限EGP3,000万・上限EGP5億の罰金の対象となります。クリアランスの前に取引を実行することはできません。
- 事前クロージング型の規制は2024年6月1日から全面施行
- 国際基準の国内売上要件は関係当事者の少なくとも1者について判断される
- 審査は第1段階30営業日+第2段階60営業日、延長を含む最大120営業日
7カ国で比較する:競争法・企業結合の7カ国比較
債権管理・紛争解決
債権管理・紛争解決|債権管理と回収の実務エジプトの債権回収|契約設計と執行
債権回収の可否は、契約条項、担保・保証の有無、担保の対抗要件により左右されます。手続はアラビア語が前提となります。
契約段階の設計
支払条件、遅延損害金、期限の利益喪失、担保・保証が契約上の要素となります。大陸法の下では、契約に明記されていない事項についても民法により権利義務が生じます。
担保と執行
担保の対抗要件の具備が執行段階の要素となります。判決の取得から執行までの期間を見込むことになります。
管轄
投資・銀行・資本市場・知的財産・競争等の対象法令に関する事件は、経済裁判所法120/2008に基づく経済裁判所が扱います。
- 大陸法の下では契約に明記されていない事項にも民法が適用される
- 担保の対抗要件の具備が執行段階の要素となる
- 投資・銀行・資本市場・知財・競争等は経済裁判所が扱う
7カ国で比較する:紛争解決・債権回収の7カ国比較
債権管理・紛争解決|裁判制度エジプトの裁判制度|三審制と経済裁判所
第一審裁判所、控訴裁判所、破毀院の三審制を基本とし、投資・銀行・資本市場・知財・競争等は経済裁判所が扱います。労働事件は2025年10月以降、専門の労働裁判所が扱います。
裁判所の構成
| 第一審裁判所 | 民事・商事等 |
|---|---|
| 控訴裁判所 | 控訴審 |
| 破毀院 | 上告審 |
| 経済裁判所 | 投資・銀行・資本市場・知財・競争等(法120/2008) |
| 労働裁判所 | 労働事件(2025年10月1日から適用) |
経済裁判所
経済裁判所法120/2008に基づき設置され、対象法令に関する事件を扱います。企業紛争においては、この管轄の有無が手続の入口となります。
手続
手続はアラビア語が前提です。判決の取得から執行までの期間を見込むことになります。
- 第一審・控訴・破毀院の三審制を基本とする
- 投資・銀行・資本市場・知財・競争等は経済裁判所(法120/2008)が扱う
- 労働事件は2025年10月1日から専門の労働裁判所が扱う
7カ国で比較する:紛争解決・債権回収の7カ国比較
債権管理・紛争解決|仲裁とADRエジプトの仲裁|仲裁法27/1994とCRCICA
エジプトは仲裁法27/1994を有し、ニューヨーク条約の締約国です。CRCICA(カイロ地域国際商事仲裁センター)が主要な仲裁機関として利用されます。
仲裁の枠組み
仲裁法27/1994が仲裁手続を規律します。エジプトはニューヨーク条約の締約国であり、外国仲裁判断の承認・執行の枠組みがあります。
CRCICA(カイロ地域国際商事仲裁センター)が機関仲裁を提供し、中東・アフリカ地域における主要な仲裁機関のひとつとして位置づけられます。
取消・執行
仲裁判断の取消しおよび執行については、仲裁法27/1994が要件を定めます。公序に反する論点の有無が争点となる場合があります。
仲裁条項の要素
準拠法、仲裁地、言語、仲裁機関、仲裁人の数と選任方法が仲裁条項の要素となります。仲裁適格の有無は事前の検討対象となります。
- 仲裁法は27/1994、エジプトはニューヨーク条約の締約国
- CRCICAが主要な仲裁機関として利用される
- 取消・執行の要件は仲裁法27/1994が定める
7カ国で比較する:紛争解決・債権回収の7カ国比較
- 投資法72/2017は内外投資家の平等待遇と原則100%外資を保障する
- 労働法14/2025は2025年9月1日施行、労働裁判所は10月1日から
- 企業結合の事前届出制は2024年6月1日から全面施行